《学名》
Symbrenthia lilaea.
キミスジについて矢後勝也先生に以下の見解を頂きました(2019年3月現在)。
キミスジについて、少なくとも八重山産の由来は台湾ではなく大陸産です。
キミスジSymbrenthia lilaea Hewitson, 1864(タイプ産地:インド)
・台湾亜種 formosanus Fruhstorfer,
1908(タイプ産地:台湾)
・華南亜種 lunica Bascombe,
Johnston & Bascombe, 1999(タイプ産地:華南)
この両者は産卵様式が少し異なるなど、生態的な違いもあるため、互いに別種の可能性もあるのですが、多くの文献ではまだ亜種として残しています。現状で両亜種が混生している台湾は、最近出ている図鑑でも別種関係とはしていない(つまり上記の亜種の関係を記している)ので、キミスジ華南亜種としておくのが良いかもしれません。
とのことで、ここでは「キミスジ華南亜種」としておきます。ご教示頂いた矢後勝也先生に感謝申し上げます。
《文献覚え書き》
【2022年度発行文献より】
分布;キミスジ1♂ 与那国島満田原与那国嵩農道ほか1例 5月26日 青木一宰「八重山の迷蝶などの記録、2019年」Citrina通信(736)4783-4787.
【2019年度発行文献より】
キミスジ♂(撮影後採集)与那国島 2019年6月13日、新田智「梅雨空の与那国行(2019年6月10日〜14日)」、ありんくりん通信35;1-8.
沖縄県で記録された蝶類と食草についてまとめる(島嶼別蝶類分布一覧表あり)比嘉正一・長嶺邦雄、改訂・沖縄県の蝶ー記録された島と食草ー;2-182.※本種は追加の食草、分布記録の追加はなし。(沖縄昆虫同好会).
【2013年度発行文献より】
沖縄県の蝶・記録された島と食草(沖縄昆虫同好会).
【2011年度発行文献より】
寄生:キミスジ蛹(ヤドリバエの一種)石垣島川平産 2010年6月24日羽化 円谷悦造「石垣島川平産の蝶2種類の寄生蝿・寄生蜂について」、季刊ゆずりは49:58-59.
天敵:キミスジ終齢幼虫(蛹化後マダラヤドリバエが脱出羽化)石垣島登野城産 2010年4月15日 浜祥明「キミスジの寄生バエについて」、季刊ゆずりは51:45.
【2009年度発行文献より】
食草;アカソ(月刊むし466).
由来:2008年に石垣島で発生したリラエアキミスジについて、中国大陸中南部から 円谷悦造「2008年に石垣島で発生したリラエアキミスジSymbrenthia lilaea lunica」季刊ゆずりは(41)61-66.※双尾Uではキミスジとする
食草:2008年に石垣島で発生したリラエアキミスジをカラムシ、オオイワガネで飼育・羽化 円谷悦造「2008年に石垣島で発生したリラエアキミスジSymbrenthia lilaea lunica」季刊ゆずりは(41)61-66.※双尾Uではキミスジとする.
食草:2008年〜2009年、キミスジ(カラムシ、オオイワガネ)発生を確認、分布、消長、成虫の生態など 足立慎一「沖縄県石垣島のキミスジ雑記」季刊ゆずりは(41)22-23.
【2008年度発行文献より】
分布:キミスジ1♂ 石垣島大嵩 2008年5月13日、5♂6♀ 石垣島川平 2008年5月19日 浜祥明「沖縄県石垣島のキミスジ」季刊ゆずりは(38)20.
分布:キミスジ1♀ 石垣島オモト林道 2008年4月24日 足立慎一「2008年春の沖縄県石垣島で出会った蝶たち」季刊ゆずりは(39)16-19.
交尾:キミスジ交尾 石垣島大嵩 2008年5月25日 足立慎一「2008年春の沖縄県石垣島で出会った蝶たち」季刊ゆずりは(39)16-19.
《参考資料》
【参考文献】本種に関する蝶研フィールドについて(数字は通巻号数)
村松 秀行 日本初記録 西表島におけるキミスジの記録 231
本誌編集部 キミスジについて 231
根来孝典 キミスジ採集記 243
村松稔 与那国島のキミスジ♀ 247
金子孝夫 2007年春から夏の八重山(キミスジなど迷蝶の記録) 255
熊谷隆 石垣島におけるキミスジの記録 259・260
水越雄二 与那国島のキミスジはどこから来たか? 259・260. |